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【ドクター和のニッポン臨終図巻】俳優・石田信之さん ミラーマンは「余命宣告」も生きる力に (1/2ページ)

 昨秋、『生きる』というミュージカルを観ました。黒澤明監督のあの名作を、監督没後20年を記念し、宮本亜門さんが初の舞台化。映画で志村喬さんが演じた主役は、鹿賀丈史さんと市村正親さんのWキャストという、それはそれは豪華な布陣でした。私は、市村さんの回を観たのですが中盤からもう、涙が止まりませんでした。

 主人公の渡辺は、市役所職員。人の前に出ることなく、事なかれ主義を慎ましく生きてきた役人らしい(?)役人でしたが、ある日、胃がんで余命半年だと告げられます。そこで初めて、生きる意味を自問自答し、残りわずかの人生で成すべきことを見つけて、仕事への向き合い方を変えるのです。

 私は、余命宣告という言葉が嫌いです。だけどこの舞台を観たときに、余命宣告を受けて輝ける人生もあるのだと改めて考えました。

 そして、特撮ドラマ『ミラーマン』などで知られる俳優の石田信之さんの訃報を聞き、再び、余命について考えています。

 石田さんは、6月13日に川崎市内の病院で亡くなりました。死因は、大腸がんからの多臓器転移。68歳でした。2014年1月にステージ4の大腸がんと診断。3月に手術をしたところ、肝臓への転移のほか、胃がんの併存も発見されました。つまり、転移ではない別のがんもあったということです。これを重複がんといいます。

 同年5月に、この胃がんと肝臓の転移巣を手術で切除。その後は抗がん剤治療を続けていましたが、2015年の夏に今度は尿管に再発を認め、医師から「余命30カ月」と言われたそうです。

 医師は通常、余命30カ月などと宣告したりはしません。おそらく石田さんから迫ったのでしょう。

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