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【BOOK】苦しみもがき“どん詰まり”になる男女…不倫が救いになることも? 金原ひとみさん「アタラクシア」 (3/3ページ)

 --読者は、作品に、作者の恋愛観や倫理観を見るといいますが

 「今回は、いろんな『視点人物』を登場させていますが、それぞれにどこかしら共感できる部分があります。私はひどい場面も書きますが、『世界観として受け入れられないこと』は書けません。(今作にも)嫌いなタイプの女性も出てきますが、その世界へ行きたくない、というほどではない。どこかで美意識を保ちたいのです」

 --昨今の出版不況については?

 「私のような『暗い人が出てくる暗い話』はそもそもそんなに売れませんよ(苦笑)。昔のように、飛ぶように小説が売れている時代の方がおかしかったわけで、細々と生きてゆくには、今の方が適しているかもしれませんね。ネットへの流れは止められませんし、何とか折り合いをつけていくしかないでしょう」

 ■あらすじ フランス帰りの元モデル、由依(ゆい)は、作家の夫、桂(けい)とセックスレスの状態が続いている。由依は、家を出てシェフの男と不倫を重ねるが、桂に知られ、無理やり体を奪われてしまう。ミュージシャンの夫のDV(家庭内暴力)に苦しむ編集者の真奈美は同僚の男と密会を重ね、パティシエの英美は、夫に浮気され子供を虐待…。うまくいかない結婚生活。『アタラクシア』(心に波風が立たない状態)を求めて、もがく男女の愛憎を描く。

 ■金原ひとみ(かねはら・ひとみ) 1983年、東京都生まれ。35歳。2003年、デビュー作の『蛇にピアス』が、すばる文学賞を受賞。翌04年、20歳のとき、同作で芥川賞を史上最年少で受賞(19歳の綿矢りさ、と同時)。80万部を超えるベストセラーとなり、海外での翻訳や映画化もされた。主な著書に『TRIP TRAP』(織田作之助賞受賞)『マザーズ』(Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)など。昨年夏、6年ぶりにパリから帰国。

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