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【ドクター和のニッポン臨終図巻】全日本プロレス・青木篤志、王座奪還直後に…無念の事故死 (2/2ページ)

 さて、交通事故死の定義ですが、平成5年より変わったことをご存じでしょうか。事故発生から1日経過して死亡する人の実態を把握するために、警察庁では同年より「24時間死者」と「30日以内死者」という2つの集計を行っています。それまでは「24時間死者」しか集計しなかったのです。しかし、逆に言えば、事故後30日以上生きた場合は、今も「交通事故死」に含まれないということ。

 実は、私の母親も3年前に交通事故で逝きました。散歩中に車にはねられたのです。即死というべき脳挫傷でしたが、数日間、集中治療室で生きてくれました。覚悟はできたものの臨終を告げられた時には、医者でなく、1人の息子として嗚咽(おえつ)しました。「和宏君、しっかり頑張りや!」という母の声が聞こえた気がしました。

 青木さんはまだ40代になったばかり。ご家族やお仲間の無念を思うと胸が詰まります。かつて1万5000人いた交通事故死が3500人まで減った、良かったね! と喜んでいる場合ではないのです。1日に10人も亡くなっている現実を、忘れないでください。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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