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【手術や入院時に覚えておきたい「せん妄」のリスク】予後に大きく影響…「せん妄」3日以上続けば認知症リスク12倍!? (2/2ページ)

 ■疼痛(痛み)などの身体症状

 ■断眠(眠れない・睡眠の質が悪い)

 ■感覚遮断または過剰(ICUに入るなど)

 ■不動化(身体拘束など)

 ■心理社会的ストレス

 「病院の在院日数をいちばん増やす要因も、せん妄です。患者さんの予後はもちろん、国の医療経済的にも、見過ごせない問題です」

 死亡リスクとは別に、家族にとって大きな問題なのが、施設入所リスクや認知症の発症リスクだろう。さらには、すでに軽度の認知症になっている人がせん妄を発症すると、認知症の重症度が進むことが分かっている。

 たとえば2009年の研究では、アルツハイマー型認知症を患っている入院患者263人を1年間追跡調査したところ、退院1年後で認知機能低下速度は、2倍のスピードで進むということが報告されている。

 元気になってほしい、長生きしてほしいと思って手術や入院を勧めたのに、治療目的の病気は治っても、認知症や介護が必要な状態になれば、家族としては複雑な心境だ。

 これだけ大きなリスクがあるのなら、積極的に予防や治療をしたいところだ。岸教授は「せん妄のメカニズムは研究が進められているが、まだはっきりとは解明されていない」という。

 「治療法については、残念ながらエビデンスレベルの低いものが多い。しかし予防については、非薬物療法を系統立てて根気よく続けていくことで可能です。薬物でも可能性のあるものが出てきました」

 次回は、せん妄予防と睡眠について。(石井悦子)

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