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【ぴいぷる】小窓の中に広がる摩訶不思議“パノラマ島” 箱庭アーティスト・安田誠一さん「理想のテーマパーク作るのが夢だった」 (2/3ページ)

 ■個展オファー殺到

 きっかけは阪神大震災。園内の施設が損壊し休園の事態に陥った。

 「すべてがゼロになる状況を目の当たりにし、何かを残す仕事がしたい」と思い立ち、退職後、職業訓練校に通い、木工細工の技術を身につけ、家具製作の会社に就職する。

 家具職人としての人生が軌道に乗り始めた頃、再び転機が訪れる。

 「息子の幼稚園で親子で一緒に工作するイベントが開かれたんです」

 父母らが持ち寄った空き箱や紙、木材の廃材などを使い、1時間ほどかけて即興で工作物を完成させるイベントだった。

 すぐにアイデアが頭の中に浮かんだ。紙製の皿の空き箱の中にベネチアの運河をミニチュアで作り、箱の側面に開けた穴からのぞくと、立体的に見える仕掛けを作った。

 この空き箱で再現した“箱庭”が大反響を巻き起こす。子供だけでなく、父母や保母ら大人までもが列を作り、夢中になって小窓をのぞき込んでいた。

 「みんなの笑顔を見ていて決意が固まりました。私が作りたかったのは、この箱庭世界だったのだと気づいたんです」

 さっそく、世界5都市の風景を再現した5つの小箱を、木製の岡持ちの中に収めた作品「箱世界」を完成させた。

 「岡持ちによる極小世界の出前」をイメージした同作は、2007年のハンズ大賞で準グランプリを獲得。美術界で評判となり、全国の画廊などから個展の依頼が相次ぐ。

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