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【ここまで進んだ最新治療】保険適用拡大の粒子線がん治療 X線などより副作用軽く短期間で効果 (1/2ページ)

 がん治療に使われる放射線は、大きく「光子線」と「粒子線」がある。一般的な放射線治療で使われているX線やガンマ線は光子線で、電磁波の一種だ。一方、粒子線には「陽子線」や「重粒子線」がある。陽子線は水素原子、重粒子線は炭素原子の電子をはぎ取った原子核を、加速器を用いて光の70%程度に加速した放射線のことをいう。

 粒子線を用いたがん治療は、これまで自費と保険診療を併用した先進医療を中心に行われてきた。その後、2016年に陽子線治療は小児の固形がんを対象に、重粒子線治療は切除が難しい骨軟部腫瘍を対象に保険適用になった。そして昨年4月には、陽子線治療と重粒子線治療の両方で局所限局性前立腺がんや頭頸部がん(咽頭・喉頭の扁平上皮がんを除く)に保険適用が拡大され、一層利用しやすくなった。

 粒子線治療は、従来の放射線治療と何が違うのか。20年前から陽子線治療を開始している国立がん研究センター東病院・放射線治療科(千葉県柏市)の秋元哲夫副院長が説明する。

 「X線などの従来の光子線を体に当てると、線量は体表面付近が最も強く、次第に弱くなるが、がん細胞も突き抜けて体の奥の正常細胞までダメージを与えてしまいます。粒子線の場合は、エネルギーのピークの位置をがんの深さや大きさに合わせて調節できるので、ピンポイントでダメージを与えることができるのです。それにがんの周囲の正常組織のダメージを軽減できます」

 つまり、X線などの放射線より副作用が軽く、高い線量をがんに集中して照射できるので、短い治療期間で効果が得られる。また、放射線に弱い組織の近くにあるがんなど、いままで光子線による放射線治療が難しかったがんにも高い効果が期待できるという。

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