記事詳細

【がん治療最前線】難攻不落の膵がん、1センチ以下の早期発見で根治の可能性も (1/2ページ)

★(3)

 国内でがん死因第4位の膵(すい)がんは、患者数と亡くなる人の差が少なく、難攻不落のがんの代表といわれる。20世紀には有効な治療薬がなかったが、2001年に薬事承認された「ゲムシタビン(商品名・ジェムザール)」を皮切りに、06年の「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(商品名・TS-1)」、さらに複数の薬剤を組み合わせた併用療法など、5種類の治療法が今世紀に確立された。

 加えて、ゲノム医療の進展で、膵がんには代表的な4つの遺伝子変異(KRAS、TP53、CDKN2A、SMAD4)が見られることもわかった。ところが、他のがんでは、遺伝子変異に伴う効果的な分子標的薬が見つかっているが、膵がんではこれらの遺伝子変異に対する有効な分子標的薬が開発されていない。

 「KRAS遺伝子野生型に対しては、分子標的薬『セツキシマブ(商品名・アービタックス)』が有効であることが大腸がんでは示されています。ところが、膵がんの患者の80~90%に認められるKRAS遺伝子変異には、現在、有効な薬剤がありません。KRAS遺伝子は変異しやすく、膵がんのターゲットとして捉えにくいためです。そして、KRAS遺伝子変異以外の遺伝子変異についても、まだ有効な分子標的薬は得られていません」

 こう話すのは、この分野の第一人者である国立がん研究センター東病院肝胆膵内科科長の池田公史医師。

 米国では、BRCA遺伝子変異に用いられる「オラパリブ(商品名・リムパーザ)」が、BRCA変異を有する膵がんに有効ではないかと考えられて臨床研究が進んでいる。オラパリブは、日本でも18年に一部の卵巣がんや乳がんで薬事承認された。また、ミスマッチ修復遺伝子欠損を高頻度に有するMSI-Hの患者に対する免疫チェックポイント阻害剤である「ペムブロリズマブ」や、NTRK融合遺伝子の働きを阻害する「エヌトレクチニブ」が、国内でも臓器横断的に薬事承認され、一部の膵がんでもこれらの遺伝子異常を有する患者には有効性が期待されている。

関連ニュース