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【ぴいぷる】ノンフィクション作家・評論家 塩田潮 「虫の眼と鳥の目」で東京五輪が生み出す“新しい日本”追跡 (1/3ページ)

 ■細部を掘り出す力 時代や歴史の視点

 取材と執筆で心がけているのは「虫の眼(め)と鳥の目」である。

 「ノンフィクションの書き手は、事件の病巣や物や人の動きなど細部を掘り出す力が要求されます。虫の眼の仕事ですね。同時に時代や歴史といった(俯瞰的な)視点から、いま起きている事象が時代の何をどう体現しているかをわしづかみにする力、つまり鳥の目も必要です。両方を持っていないと物事の本質がつかめない。企画を構想する力の源泉です」

 いま東京五輪を通して国、東京都、スポーツ界などの軌跡をたどった自著『東京は燃えたか』が耳目を集めている。

 「オリンピックは日本と日本人をどう変えたか、またオリンピックでどう変わるのか、僕も興味津々でした」

 2020年、日本で2度目となる夏季五輪が開催される。1回目は56年前の1964年。当時、日本経済は池田勇人内閣の「所得倍増」のかけ声のもと、高度経済成長を実現。五輪は「黄金の60年代」と呼ばれた時代を生み出す強大なエンジンとして機能した。

 だが、日本が初めて五輪招致に動いたのは戦前の1930年代だ。IOCベルリン総会でヘルシンキに勝ち、40年開催を手にしながら、返上せざるを得なかった。軍部の台頭で、外では満州事変、内では五・一五事件、国際連盟脱退をはさんで二・二六事件が勃発。戦時体制となり、五輪どころではなくなったのだ。極東の小国・日本を世界の人々に知ってもらう千載一遇の機会ととらえた人々は大きく落胆した。

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