記事詳細

【がん治療最前線】悪性度の高いがんに挑む「間質ターゲット療法」 (1/3ページ)

★(5)

 悪性度の高いがんが、薬の効きにくい理由の一つに、がん周辺に生じた間質(かんしつ)という異常な組織が関係することを前回紹介した。

 間質の中に血管が通っているため、血液を流れる抗がん剤などの薬は、間質に阻まれてがんに到達することが難しい。その打開策として、国立がん研究センター先端医療開発センター新薬開発分野の松村保広分野長が開発しているのが「間質ターゲット(CAST)療法」である。

 「がんが増殖するときに毛細血管を破壊し出血を起こすため、がんやその周辺には血液を固める不溶性フィブリンというタンパク質の塊ができます。それをターゲットに、薬剤を届けるドラッグデリバリーシステム(DDS)の応用で、新しい薬の開発を行っています」

 こう話す松村氏は、DDSの研究でノーベル賞候補になるなど、長年先駆的な研究を行っている。日本DDS学会の理事長を務めるなどDDS技術の発展にも尽力し、EPR効果やCAST療法を含む今までのDDSの仕事を本にして、国際的な学術出版社「シュプリンガー(Springer)」から年内に出版予定である。

 「がんに付着するフィブリンは、不溶性蛋白(たんぱく)の状態で、これががんを覆っています。この不溶性フィブリンだけにくっついて、抗がん剤を放出する『抗不溶性フィブリン特異抗体』を開発しました」

関連ニュース