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【マンガ探偵局がゆく】フーテンの寅さんにも通じる男の魅力… 大阪のマンガ家・吉田松美の「不乱剣シリーズ」 (2/2ページ)

 朱太郎の味方として、「黒ゆり」を名乗る謎のイケメン剣士も出てくるが、印象の強さでは完全に朱太郎に負けている。

 写真で紹介した『殴り込み不乱剣』では、目の病を治すために湯治に向かったお姫様を忍者の一群が襲う。通りがかった朱太郎が姫を救い、お姫様は朱太郎に好意を寄せるようになるが…。

 作者の吉田松美は、大阪の浪速区にあった貸本専門出版社・わかば書房からデビュー。大阪では文洋社、日の丸文庫などから描き下ろし単行本を次々に出版。東京では太平洋文庫や東京日の丸文庫からも本を出し、執筆ペースは月600枚以上という売れっ子だった。昭和30年代半ばには、集英社の『日の丸』や講談社の『少年クラブ』などの月刊雑誌でも別冊付録を描いている。

 今回の調査では当時を知る編集者にも話を聞いてみたが、「その後の消息はわからない」ということだった。

 ■中野晴行(なかの・はるゆき) 1954年生まれ。フリーライター。京都精華大学マンガ学部客員教授。和歌山大卒業後、銀行勤務を経て編集プロダクションを設立。1993年に『手塚治虫と路地裏のマンガたち』(筑摩書房)で単行本デビュー。『謎のマンガ家・酒井七馬伝』(同)で日本漫画家協会特別賞を受賞。著書多数。

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