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【ドクター和のニッポン臨終図巻】名馬ディープインパクトの「安楽死」 人間との切ない違い (2/2ページ)

 ディープインパクトは、かねてより治療していた頸部(けいぶ)の手術を7月28日に行い、術後は容体は安定していたものの、29日の午前に突然起立不能に。翌日エックス線検査を行ったところ、頚椎に骨折が見つかり、回復の見込みがないと判断されたため、直ちに安楽死の処置が取られたそうです。

 なぜ、骨折程度で安楽死させるのか? サラブレッドは体重が400~600キログラム。骨折し動けなくなると、感染症など重篤な合併症にかかる確率が高いそうです。

 また、馬は非常にストレスを感じやすいので、歩けないストレスで大暴れをしてさらに骨折などを重ね、苦痛が増していくことが常だからだとか。しかもディープインパクトは頚椎の骨折。神経が損傷していたと思われます。

 馬の安楽死には、主に筋弛緩(しかん)剤などが用いられるとのことです。ディープインパクトも、おそらく薬を打たれた後は、眠るように旅立ったものと推測します。

 ただし、人間の安楽死とは大きく違う点が一つあります。人間の場合は、あくまでも本人の意志によって行われます。馬の場合は…切ない風が吹いてきました。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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