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【ドクター和のニッポン臨終図巻】「ワシの記録を抜くやつはおらん」シビれる強気発言 プロ野球選手・金田正一さん (1/2ページ)

 1969年10月10日の後楽園球場は巨人×中日戦。小学生だった私はわが家の白黒テレビにかじりつくようにしてこの瞬間を目撃しました。中日の先発は、昨年亡くなった星野仙一投手。巨人の金田正一投手は、5回から登板し、この日、通算400勝という金字塔を立てたのです。誰もその記録を破れぬまま50年が過ぎ、10月6日、金田さんは都内の病院で亡くなりました。享年86。死因は急性胆管炎による敗血症でした。

 80歳を過ぎてもお元気だったようですが今年7月、心筋梗塞で緊急入院。雑誌のインタビューで次のように語っています。

 「死ぬかと思ったよ。いま思えば前日、寝る前に何かおかしいなと違和感があったが、そのまま寝て、朝起きると胸を締め付けられるような痛みがあった。これまで経験したことがない痛みで、ワシでも我慢ができなかった」。この時は11日間の入院で退院したものの、8月8日、今度は胆管炎での入院となりました。

 胆管炎や胆のう炎は、胆道に細菌が入りこんで炎症がおきます。右上腹部の痛みや黄疸(おうだん)、吐き気などの症状が出ますが、高齢者の場合は発熱程度で診断や治療が遅れるケースもままあります。

 ですから、在宅医療においても高齢の患者さんに38度以上の高熱がみられた場合、肺炎、胆道の炎症、尿路の炎症の順で疑うように後輩医師に教えています。血液検査と腹部超音波・CT検査で診断が確定します。胆道感染症は時に時間との争いになることがあります。肺炎などと誤診して手遅れになることだけは避けたいのです。

 金田さんの場合は、入院から2カ月間闘病されていたので、診断が遅かったわけではないと考えます。しかしその前に心筋梗塞で入院していたので、体力の低下もあり敗血症に陥ったのでしょうか。

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