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【ドクター和のニッポン臨終図巻】「アヴェ・マリア」「アメイジング・グレイス」を“魂に響く歌声”で歌い上げ…揺るぎなき永遠性を得た歌姫 オペラ歌手・佐藤しのぶさん (1/2ページ)

 〈アヴェ・マリア〉〈アメイジング・グレイス〉〈さとうきび畑〉〈荒城の月〉…。今、『マイフェイバリット・ソングス』という名のついたCDアルバムを聴きながらこの原稿を書いています。

 古今東西どんな曲であっても、その豊かな表現力で自分の歌にしてしまう。魂に響く歌声とは、まさにこの人の声をいうのでしょう。

 この美声の主が、突然いなくなってしまいました。日本を代表する美貌のオペラ歌手・佐藤しのぶさんが、9月29日に亡くなりました。享年61。しかし、死因は発表されていません。佐藤さんは私と同じ、1958年の夏生まれ。面識はなくとも、同じ年に生まれた人が亡くなるのは、なんともせつない気持ちになります。

 そして誰かの訃報を耳にしたとき、私たちが次に思うのは、「なぜ死んだのだ?」ということです。

 他人の死因など、自分に直接は関係のないことなのに、WHYを知りたがるのが人間の性でしょう。

 しかし、昨今、死亡の発表はあっても、死因はあえて公表しない、というケースがだんだん増えてきているように感じています。

 死因とは、とてもプライベートなものです。発表しない人には、それぞれの理由があるようです。がんの場合は、遺伝という視点から、子供の将来のリスクを考えての場合もあるようです。

 認知症の場合は、悲しいかないまだ世間体を考えるご家族も多くいます。自殺の場合も、突然死とだけ伝えることも多いでしょう。いずれにせよ様々な病に対し偏見のある社会が問題なのですが。その問題を払拭するため、私もこの連載を書かせて頂いているようなものです。

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