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【BOOK】作品が世に受け入れられるためには…時代の「半歩前」を行く 第1作から33年、人気の「百舌シリーズ」最終話 逢坂剛さん『百舌落とし』 (1/2ページ)

★逢坂剛さん『百舌落とし』(集英社2000円+税)

 1980年の文壇デビュー直後その原型が発表され、本格的シリーズ開始。あれから実に33年。人気の百舌(もず)シリーズがついに最終作を迎えた。(文・竹縄昌 写真・古厩正樹)

 ■本代が「惜しくなかった」と思ってもらえる小説を

 --第一作発表から33年経ちました

 「数字を見ると、そうか、という感じになりますが、あまり終わったという気がしないんです。気持ちの中で縁が切れるものではなくて、あえて言えば、スポーツ選手が現役をやめてコーチになったぐらいの感覚。でも作家は続けていますから、子供が成人して社会人になったかなという感じですかね」

 --81年にシリーズの原型的な作品『裏切りの日日』が出たが、共通の登場人物がいます

 「オール讀物推理小説新人賞(80年)をとりましたが、実は江戸川乱歩賞に応募しようと400枚ぐらい書いていたんです。警察小説で“本格もの”に負けないトリックを考え、ハードボイルドかつ本格もの、という誰も書いたことがない小説を書こうとしたんです。たまたま原稿を講談社の編集者に見せたら、乱歩賞の当選は難しいだろうと言われました。当時は本格ものが隆盛で、僕の作品では受け入れられなかったんだろうと。本にしてくれるので応募はやめました。6000部刷って絶版でした」

 --その5年後に『百舌の叫ぶ夜』でシリーズが始まります

 「百舌を書く気になったのは『裏切り…』から2、3年後ぐらいだったかな。当時は、ミステリーというと刑事警察ばかりで、公安警察の情報もなかった。でも、仕事場が神保町だったおかげで、古書店に(関連の)出版物が出回っていたんです。それを読み込むうちに百舌の構想が湧いて来ました。公安警察と本格もののトリック小説をなんとか融合できないかと思って書いた覚えがあります」

 --過激派、爆弾テロと当時を思い出します

 「それからトリックじゃないけど、叙述についても映画のフラッシュバックのように(犯人と警察の)時間の流れを別々にしてそれが最後に時間が合流する仕掛けで書きました。海外にもそういう手法の小説があったと思います」

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