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【がん「第5の治療法」を探る】世界が実用化へ熱い視線! がん細胞だけに存在する目印をたたく「ネオアンチゲン療法」 (1/2ページ)

 米シカゴ大から昨年7月に帰国して、がん研究会「がんプレシジョン医療研究センター」所長に就任した中村祐輔医師。遺伝医学の「世界的な権威」がいま、最優先に掲げるのは遺伝情報を活用したネオアンチゲン療法の実用化だ。

 同療法を一言でいえば、「がん細胞に新たにできた目印を叩(たた)く仕組み」だ。正常細胞を攻撃することがないため、体に優しい治療方法となる。抗がん剤など、つらいがん治療のイメージを一新すると期待されている。

 「ネオ」(新しい)、「アンチゲン」(抗原)を合わせて「新しい抗原」という意味で、新規がん特異的変異抗原ともいわれる。ネオアンチゲンは、遺伝子変異によって生じたがん細胞にだけ存在する。この抗原をがん細胞攻撃の目印とする治療方法だ。

 では、どのようにがんを叩くのか。中村所長は次のように説明する。

 (1)遺伝子解析の情報を基にネオアンチゲンを予測し、これを人工的に作る。

 (2)そのネオアンチゲンを樹状細胞と混合してネオアンチゲン・ワクチンをつくる。

 (3)それを患者に戻すと、目印に反応してがん細胞を敵と見なす自分のリンパ球(T細胞)が増加して、がん細胞を攻撃する-という仕組みだ。

 「がんは遺伝子異常が原因でできるものであり、これによって1人当たり平均で数十個のネオアンチゲンという目印が生じる」(中村所長)

 患者が直面する一つに、抗がん剤の副作用がある。抗がん剤には「目印を狙う」能力はなく、増殖の盛んな細胞に働きかける性質のため、がん細胞だけでなく、頭皮や消化器などの一部の正常細胞も同時に攻撃する「負」の反応ももつ。

 「抗がん剤治療で効果があがる人もいるので、現状では必要だが…」(中村所長)という立場だ。

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