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【BOOK】戦争で塗り替えられた「少国民」を自伝的に描く 「ウルトラマン」などの監督務めた飯島敏宏さん初の小説! 『ギブミー・チョコレート』 (1/2ページ)

★飯島敏宏さん 『ギブミー・チョコレート』(KADОKAWA 1800円+税)

 昭和ひとけた生まれ、特撮テレビ番組『ウルトラマン』シリーズなどの監督、脚本で知られる著者。自らの戦争体験を下敷きに、当時「少国民」と呼ばれた子供たちの姿を瑞々(みずみず)しく描いた初の自伝的小説が話題を呼んでいる。(文・たからしげる 写真・古厩正樹)

 --本書が生まれた端緒は何でしょう

 「少国民をテーマにした話は、以前から書きたいと思っていました。例えば、疎開を取りあげると、都会の子供が田舎に行っていじめられる話、というふうに、パターン化して描かれていました。そこで、集団疎開について、僕たちが実際に経験したものを、きちんと描いてみたいと、50年ほど前にテレビドラマ化を提案したのです。が、制作費が当時でも3億円かかるということで立ち消えになってしまいました」

 --半世紀前からの企画だったのですね

 「はい、少国民という言葉は、戦前に、豊かな教養と、自由で健全な精神、肉体を具(そな)えた子供たちを育てようという理想から生まれた言葉だったのです。軍が政権を握って、戦争が始まり、遂に本土決戦にまで追い込まれてくると、全ての子供たちを、戦士として錬成するための言葉に塗り替えられてしまいました。子供たちを戦火から護(まも)り、将来の日本を託す理想教育をめざして始められた僕たちの集団疎開学園にも、たちまち、軍国主義一辺倒の先生が送り込まれてきたのです」

 --脱稿までにかかった時間は

 「足かけ3年くらいです。当初は半年くらいで書けると思っていましたが、自分の記憶を一つひとつ裏づけていかなければならず、記録もしっかり調べなければいけませんでした。ずいぶん時間がかかってしまいました」

 --改めて、本書に込めた思いを

 「戦争の本と聞くと、暗く、重苦しいものというイメージを抱いて、読もうと思わない人が多いと思います。面白く、楽しく読んで頂けて、この作品に込めたメッセージが伝わればいいなあと、それだけを心掛けて書きました」

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