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【松浦達也 肉道場入門!】味はもちろん“音”まで旨い! 老舗ハンバーグレストラン「ハングリータイガー」の存在感

★絶品必食編

 ご当地ハンバーグの勢いが止まらない。その祖と言うべき存在が神奈川県の「ハングリータイガー」である。

 同店の創業は1969年。今年創業50年を迎える、老舗ハンバーグレストランだ。

 「ハングリータイガー」のハンバーグは画期的だった。パティは牛肉100%。つなぎなし、みっちりした食べごたえ。大人向けの味わいを、日本に外食文化が定着する以前から提案していたのだ。

 800~1000度の炭火で香ばしい焼き目をつけられた分厚いハンバーグは、熱々の鉄板に乗せられて、「ジャアア」という音とともに卓上へとやってくる。

 鉄板の下に敷いたナプキンは油はね防止用。客自身が手前のほうへと広げて首の高さまで持ち上げたら、次なるステップへの準備は完了だ。

 まるまるとしたハンバーグは客の目の前でふたつにカットされ、断面が鉄板に押しつけられ、焼き上げられる。

 この時点で「ジュワァアア」とそそる音が耳を襲うが、本番はさらにこの先だ。

 ソースポットをなみなみと満たした特製のグレイビーソースが肉塊にとろとろと注がれ、ハンバーグをつたって鉄板へと流れ落ちる。

 瞬間! 「ジュバババアアアア!」というけたたましい音が鉄板上で炸裂し、眼前に白い蒸気の霧が立ち上る。

 霧が晴れてくる頃、その向こうから、おぼろげだった肉塊がはっきりと姿を現す。

 そこに威風堂々と鎮座しているのは、牛肉100%のハンバーグ。周囲を満たす弾けるソースのベッドから、もうもうと蒸気が立ち上る姿は神々しいほど。

 さあ、ここからが本懐だ。テーブルナイフで肉塊を一口大にカットし、ソースをなでつけて口に放り込む。肉の味わいが口内に押し寄せる。

 鉄板上に添えられた付け合わせも単なる添え物ではない。特にじっくり炒められたあめ色玉ねぎはハンバーグと一緒に食べると、口のなかで旨味が爆発する。

 横浜市保土ケ谷区にある1号店はいつも地元客で賑わっている。週末には2時間、3時間待ちも当たり前。

 味はもちろん音まで旨い。“元祖”の味は骨太、ならぬ“肉太”である。

 ■松浦達也(まつうら・たつや) 編集者/ライター。レシピから外食まで肉事情に詳しく、専門誌での執筆やテレビなどで活躍。「東京最高のレストラン」(ぴあ刊)審査員。

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