記事詳細

【中原英臣 あの医療情報ウソ?ホント!】価格は3349万円…患者自身の細胞を用いてがん治療する「キムリア」

 厚生労働省の中央社会保険医療協議会総会が、今年の5月に白血病に対するCAR-T細胞療法に用いる「キムリア」の薬価を過去最高の3349万3407円とすることを決めました。アメリカでは約4800万円、イギリスやドイツでは約4100万円ですから、キムリアの薬価は大きく下回っています。

 CAR-T細胞療法である「キムリア」というのは、患者さん自身の細胞を用いて、がんを治療する画期的な免疫細胞療法です。白血球アフェレーシスという特殊な血液濾過(ろか)プロセスを通して、患者さんひとりひとりからT細胞を採取します。

 そのT細胞の遺伝子を改変して、がん細胞の表面に発現するCD19抗原を特異的に攻撃するようにします。そのT細胞(CAR-T細胞)を培養したうえで、患者さんの静脈内に投与するという治療法です。CAR-T細胞は患者さんの血液内で増殖するので、CAR-T細胞の投与は一度だけで済みます。

 キムリアの使用が認められる病気は、再発または難治性のCD陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病と、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫だけで、使用できる病院も日本造血細胞移植学会が定める移植施設認定基準のすべての項目を満たしている170の施設に限定されます。

 キムリアの薬価が3349万という高価格となったのは、CAR-T療法が、これまでにないまったく新しい治療法であるだけでなく、患者さんごとにCAR-T細胞を製造するオーダーメード治療なのでコストがかかるのです。

 日本では公的健康保険があるので患者さんの負担は1割から3割となります。さらに高額療養費制度を利用すれば、患者さんの収入が370万円以下なら5万7600円ですみます。そうはいっても保険料と税金が使われるのです。

 オポジーボが高額だったことで話題になりましたが、今後、次々に登場すると思われる最先端治療はより高額となると思うと、医療制度を維持できるのか気になります。

関連ニュース