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【ベストセラー健康法】がんを告知されたら…患者が経験する「心の動き」 家族は「今までどおり」「励まさない」が大切 (1/2ページ)

 今や3人に1人ががんになるといわれる時代。治療を続けながら社会復帰を果たす人がいる一方で、年間約38万人ががんで命を落としているのも事実。だからこそ、知っておきたいことがある。

 自分ががんを告知される場面を想像したことがあるだろうか。死への恐怖を抱き、今後の生活に不安を覚え、悩み苦しむ人がほとんどだろう。がんは、患者の体だけでなく、心にも大きなストレスを与える。この精神的ダメージは甚大で、がんそのものの治療にも影響を与えることさえあるという。

 こういったがん患者の心のケアを担当する医師を精神腫瘍医と呼ぶ。埼玉医科大学国際医療センターで精神腫瘍科教授を務める大西秀樹氏は、精神腫瘍医として1000人以上のがん患者を診てきた。

 その経験を綴った『がん患者の心を救う 精神腫瘍医の現場から』(河出書房新社刊)は、2008年発行の同書に新たな記述を加えた増補新版だ。

 がんを告知されると、患者の半数は複雑な心の動きを経験(別項参照)して、徐々に安定を取り戻していく。しかし、中には手術を無事終えて退院した後も不安が和らぐことなく、動悸(どうき)や不眠の症状を訴え、日常生活に支障をきたす患者もいる。このように、重度のストレスを抱えることで適応障害やうつ病を患う人も少なくない。そのような患者の治療の詳細についても解説している。

 大西氏はこういった患者の家族から相談を受けた際には、「今までどおりに接すること」「励まさないこと」をアドバイスしているそうだ。患者は、がんになった後、人生を精いっぱい生きている。その患者にとって「頑張れ」は、「これ以上、何を頑張れというのか」という気持ちにさせられる酷な言葉だというのだ。

 「がんは精神的にも大きなダメージを与えますが、著者が出会った多くの患者さんは、生命の危機にひんしながらも精神的に成長していきました。今回の増補新版では、その人間の素晴らしい可能性について加筆しています」と、編集を担当した河出書房新社の太田美穂さん。がんになったことで精神的成長を遂げた患者についても記されている。

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