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【長田昭二 ブラックジャックを探せ】がんの治療法を眼科領域で応用 総合病院聖隷浜松病院・眼科部長の尾花明さん

 静岡県浜松市に、加齢黄斑変性に代表される「網膜硝子体」の治療と予防のスペシャリストがいる。

 聖隷浜松病院眼科部長の尾花明医師は、「光線力学療法」という、がんの治療法の一種を、眼科領域で応用する臨床研究で高い知名度を持つ眼科医。

 光線力学療法とは、光に高い感受性を持つ薬剤をがん組織に投与し、そこにレーザー光を照射して起きる化学反応を利用して腫瘍を破壊する治療法。これを失明の原因疾患でもある加齢黄斑変性治療に役立てる臨床研究に長年にわたって取り組んできた。

 この病気は、目の奥の網膜の中心にある「黄斑」とよばれる部位に出血などが生じ、視力の低下や視野欠損が起きる。

 「抗VEGFという注射薬による治療が基本ですが、治療が長期化すると限界もある。そこに光線力学療法を組み合わせると、治療効果を示すのです」

 硝子体の異常個所を除去する手術にも対応するなど、高度で専門性の高い眼科治療を提供する。

 そんな尾花医師が一方で力を入れるのが「予防」だ。加齢黄斑変性の予防には、目において抗酸化作用の働きを示す「ルテイン」と「ゼアキサンチン」というカルテノイド(天然色素)が重要な働きを持つ。尾花医師は、これらの成分を効果的に補充する、医療機関でのみ販売が許されているサプリメントを用いた予防の強化を提唱する。

 「ルテインとゼアキサンチンに目の酸化を防ぐ作用があることは科学的にも証明されている。これらを基本は食事で、不足する人はサプリを使って継続的に摂取していくことが大事」

 そう語る尾花医師は、体内のカルテノイド量を調べる測定器の開発にも関わるなど、臨床と研究の双方の分野で大きな足跡を残している。

 長寿化とともに増える加齢黄斑変性。「命の寿命と目の寿命を合わせていくことが目標です」と抱負を語る尾花医師。臨床と研究の二刀流。その忙しい日々は続く。 (長田昭二)

 ■尾花明(おばな・あきら) 1958年、大阪市生まれ。83年、大阪市立大学医学部卒業。87年、同大学院を修了し、同大医学部助手。90年、独ルートヴィヒ・マクシミリアン大学留学。帰国後大阪市大医学部講師、助教授を経て、2003年、浜松医科大学客員教授。04年から現職。現在大阪市立大学客員教授、島根大学臨床教授を兼務。日本眼科学会専門医他。医学博士。

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