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【ドクター和のニッポン臨終図巻】「病院で死にたくない」生き方と逝き方を貫いた 女優・木内みどりさん (2/2ページ)

 私は、先の『巻子の言霊』がご縁で、木内さんにはとてもお世話になっていました。5年前、この作品の語り講演を尼崎の市民フォーラムでしてくださったとき、その迫力に鳥肌が立ちました。

 歯に衣(きぬ)着せぬ政治的発言も多いので評論家のように見ていた部分もあったのですが、スゴイ役者さんだ! と改めて感動したのです。

 木内さんは、私が副理事長を務める日本尊厳死協会の会員になられていました。以前、会報誌でこんなことを仰っています。「父が病院の事故で亡くなったとき、病院や医療の恐ろしさを実感しました。病院では死にたくないと思いました。10代の頃から、いつも自分らしくいたいという気持ちがすごくあって、自分の人生の最期の決定権は持っていたい、医療者の勝手にされたくないと…」

 病院で死にたくない。そう願っていても最期は病院のお世話になる人が大半ですが、木内さんは見事に御自身のリビングウイル(生前の意思)を貫きました。

 あまりに突然で、あまりに潔く、残された者は寂しさが募りますが、木内さんらしい生き方と逝き方を貫かれたことに感動しています。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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