記事詳細

【長田昭二 ブラックジャックを探せ】「ニセ医学撲滅」を目指す“地域の物知りおじさん” 五本木クリニック院長・桑満おさむさん

 『“意識高い系”がハマる ニセ医学が危ない!』(育鵬社刊)という本が話題を読んでいる。「ニセ医学バスター」を名乗る著者は、東京目黒区で「五本木クリニック」という診療所を運営する桑満おさむ医師。

 クリニックでは自身の専門である泌尿器科領域の疾患に加えて、高血圧、脂質代謝異常症、糖尿病、かぜなど、一般内科にも広く対応。そんな桑満医師に、ポリシーを聞いた。

 「よく“名医”とか“神の手”などと言いますが、私は名医ではないし、そもそもそんな技術も必要ない。私に求められていることは、体調が悪くて受診した患者さんの話を聞いて、それが専門的な治療が必要なのか、あるいは自宅でゆっくり休んだほうがいいのかの判断を的確に下すこと。そして、高度な医療が必要と判断したら、私が信頼する専門医に速やかに紹介すること。他にすることと言えば、患者さんとの雑談くらいかな(笑)」

 そんな桑満医師が理想に掲げるのは、“地域の物知りおじさん”。

 「困ったことが起きた時に、『桑満先生に相談しよう』と思い出してもらえる存在になりたい。そのためにも雑談は大事なんです」

 桑満医師の雑談には意味がある。何気ない会話から病気の家族歴などを推測し、家庭ごとの病気のリスクを検証していくのだ。

 「たとえば、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAの値は、一般的には『4』を超えるとハイリスクとされますが、前立腺がんの父を持つ息子はPSAが『3』でも要注意となる。そうした情報を雑談から探っていく作業が私は嫌いじゃない。患者さんにとっても損はないと思いますよ」

 一方で、「シロかクロか、はっきりさせたい性格」と自任する桑満医師は、ニセ医学やトンデモ医療の摘発と糾弾に余力を残さない。ブログやツイッターで繰り広げられる舌鋒鋭い追及を楽しみにしている読者も多い。

 「日本一の町医者」を目指す桑満医師の存在感は、地域において日々重みを増している。(長田昭二)

 ■桑満おさむ(くわみつ・おさむ) 1960年生まれ。86年、横浜市立大学医学部卒業。同大医学部泌尿器科を経て97年、五本木クリニックを開業し院長。目黒区医師会がん検診委員、同地域医療公衆衛生委員。趣味は「道の駅めぐり」。

関連ニュース