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【BOOK】面白がる気持ちを突き詰めれば、ささいな出来事もエッセーに ハライチ・岩井勇気『僕の人生には事件が起きない』 (2/3ページ)

 --エピソードを見つけ出す作業でしたか

 「何かを面白がろうという気持ちを突き詰めれば、どんなささいな出来事もエッセーにできます。ネタには事欠かなかったですね。でも、過去のエピソードは限られていて無限にあるわけではないので、古いエピソードを消費して出し尽くしたらおしまいだと恐ろしい気持ちにもなりました」

 --行間からそれが伝わってきます

 「ラジオで話すネタの中で文章にできるものは限られています。逆に、文章にしたものがラジオ向きかというとそうでもないときがある。僕はこの話、どこかで聞いたなとか、知ってるなという“あるある”感が好きで、漫才でもよくネタにします。みんなが思っているけれど表立って言葉にしていない“あるある”を見つけたときが一番楽しい。1編2500字前後のエッセーでは表現をこねくり回さず、くどくならず、かつ書くことに酔っているな、と思われないようにしながら、あるある感を表現します。漫才みたいな聞き心地の良さや、締めの文章をある種の哀愁で終わらせる“エッセーあるある”も意識しましたよ。どうですか、本物のエッセイストみたいでしょ」

 --確かに

 「エッセーを書くって自分を客観的にみる作業でもあるんです。新たな視点で世界を捉えることでもあるし、逆に自分をイジる作業でもあるかな。そんな状況に巻き込まれていく自分の姿を見るのがまた面白い。僕が芸人だからこそ、すべてを客観視して面白がることができるのかもしません。芸人はイジられること自体が芸ですからね。芸人として培ってきたものがエッセーを書く上で役立ちました」

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