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【BOOK】競馬は勝ち負けよりも“負ける美学”に裏打ちされたスポーツ 「これを読めば有馬記念は当たりますよ」 作家・早見和真さん『ザ・ロイヤルファミリー』 (2/3ページ)

 ■勝ち負けよりも“負ける美学”に裏打ちされたスポーツ

 --実際に取材された馬主の印象は

 「物語で描かれる馬主は、僕が馬主を見てきた“印象の変遷”なんです。最初は成り金で、うさん臭いと思っていたのが、取材を通してこんな純粋な人を見たことがない、と思えるぐらい馬への愛がまっすぐだったり、自分の子供同然に馬にいい思いをさせたいと思っている人が多かった。儲けようなんて思っていない。僕自身が、競馬は勝ち負けよりも大事なものがあると思っていて、これは“負ける美学”に裏打ちされたスポーツなんだと感じました。人間もどうかっこよく負けるか、じゃないかと」

 --秘書の栗須栄治が語り部となります

 「継承をテーマとして一部と二部の構成なので、ふたつを貫く人間がいないかと思いました。競馬のプロにもアマチュアにも楽しんでもらえる小説となると、その真ん中の語り部が欲しかったんです。競馬の素人だった栗須が一気にプロの世界に放り込まれていく構造です」

 --競馬界がよくわかり馬券も取れそうな気がします

 「これを読めば、有馬記念、当たりますよ」

 --今後は

 「僕も編集者も、とはいえ売れなくてもいい、なんて思っていません。むしろこれがダメなら業界から足を洗う、ぐらいに追い込まれて書きました。本作が当たるか当たらないかで、今後の展開も変わっていくと思います。ただ、デビューして11年、ふりかえって、ああしておけばよかったという日はとりあえずありません。だから、いま干されても仕方ない、と思えるんです。(その覚悟で)これからもちゃんと続けていきたいという気持ちです」

 ■軸は有馬を目指してきた馬

 有馬は器用な馬が3着までに来るイメージがあるので、軸はヴェロックスかキセキ。穴はクロコスミアなんですが、もし〔1〕枠にでも入ったらこの馬を軸にするかもしれません。というほど期待しています。アーモンドアイは間違いなく強いですが、有馬だけはここを目標に調整してきた馬にいい思いをして欲しいんです。

 今年は久しぶりに好メンバーが揃い、本当に楽しみです。雨予報のようですね。僕は本書で豪雨の有馬記念を書きました。この1週間で読んで本番に備えていただけたらうれしいです。

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