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【続々・長生きは本当に幸せか】日本のがんゲノム医療が進まない4つの障害 (1/2ページ)

 「夢のオーダーメード医療」と言われる「がんゲノム医療」。遺伝子レベルでの解析から、がんを直接叩ける分子標的薬の登場で、いずれがんが完全に克服される可能性が出てきました。そうなれば、人間の死に方は大きく変わるでしょう。がん死は減り、平均寿命も延びるはずです。

 しかし、この分野の日本の医療は、すでに大きく立ち遅れ、今後、世界に差をつけられる可能性があります。主な理由は4つあります。

 ◆検査が限定的…

 1つ目は、現在、日本で行われている遺伝子検査(ゲノムシークエンス)が、限定的なものだという点です。今年6月、保険適用されて始まったのが「パネルシークエンス」ですが、これは、100~300ほどの遺伝子を選んで行われます。この遺伝子のセットのことを「パネル」と呼んでいます。

 しかし、米英では、すべての遺伝子を解析できる「全ゲノムシークエンス」を進めています。パネルシークエンスでは異変をもたらす可能性がある遺伝子をあらかじめ選ぶため、必ずもれが出てしまうからです。つまり、パネルでは既知のものしか調べられないのです。最終的にすべてのがんの治療を目指すなら、「パネル」ではなく「全ゲノム」なのです。

 ◆エンジニア不足

 2つ目は、ゲノム医療の研究開発は、医者だけではできないことです。ゲノム解析や、ゲノム医療に必要な分子標的薬などの開発はAIが行うので情報工学の専門家が欠かせないのです。

 欧米では、医者よりエンジニア主導で研究開発が進められていますが、日本は逆です。日本がパネルシークエンスになってしまったのは、医者のタテ社会構造が主導権を握ったからです。パネルシークエンスでは、医者はITエンジニアにより優位な位置に立てます。「ある特定の遺伝子」を選択するのは、医者の専門分野だからです。

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