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【BOOK】“ベンチャーの祖”幕末期にいたんです! 実在の武士をモチーフ「七郎右衛門は男前でしたよ」 畠中恵さん『わが殿』 (1/3ページ)

★畠中恵『わが殿』(文芸春秋 (上)(下)各1400円+税)

 使えねぇヤツや文句ばかりの若いモンにウンザリしている世の経営者方。こんな部下が、ひとりいたらどんなにラクなことか。命の危険も顧みず、大胆なアイデアと度胸で組織を救い、忠誠心は忘れない…。幕末期、破綻寸前の小藩(大野藩)を再生させた実在の武士(内山七郎右衛門)の物語。(文・南勇樹 写真・高橋朋彦)

 --大野藩の年間収入は1万2000両しかないのに借金は9万両。そこで藩内の銅山をカタに幕府から巨額のカネを借りることを思いつく

 「幕府からの最初の借金が3万両。それも一度だけじゃなくて何度も借りている。この事実には私もびっくりしましたが、ちゃんと資料に残っているんですよ。(七郎右衛門は)坂本龍馬みたいに、名をはせた人ではありませんし、地元以外ではほとんど知られていません。『お金に詳しい』ところを除けば、とりたてて特長がある人でもなかったと思います。『雇われて強い』タイプというのかな」

 ■初の実在人物モチーフ

 --殿(大野藩主・土井利忠)の信頼は絶大

 「似たようなケースは他の藩でもあったのだけれど、途中で、取り巻きが反対して藩主が日和(ひよ)ったりして、(部下の藩士が)切られたり、責任を取らされてしまう。大野藩の場合、ずっとお殿さまがブレずに一貫し、(七郎右衛門を)信頼して仕事を任せたことも大きかったと思います」

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