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【長田昭二 ブラックジャックを探せ】慢性腎不全の適切な治療を患者との対話の中で選択 草津総合病院(滋賀県草津市)腎臓内科部長、透析センター長・西尾利樹さん

 京都や大阪のベッドタウンとして人口が増加を続ける滋賀県草津市。当地で中核的な医療機関である草津総合病院の透析センターのトップを務めるのが、腎臓内科部長の西尾利樹医師。

 子供の頃、同じ腎臓内科医の父の忙しそうな姿を見て、「それほどやりがいのある仕事なら自分もやってみたい」と考えてこの道に進んだ。

 西尾医師が診る患者の多くは、慢性腎不全の患者だ。糖尿病などから腎機能が低下して、血液を濾過できなくなるのが腎不全。放置すると、本来なら尿によって排泄される毒素が血液中に残ってしまい、尿毒症を起こしてしまう。そこで、人工的に血液を浄化するのが人工透析だ。腎不全の治療は大きく3つ。血液を一度体外に出して機械で濾過して体内に戻す「血液透析」、おなかの中に腹膜を介して透析液を注入し、血中の不要物を透析液に移したうえで排出する「腹膜透析」、そして腎臓そのものを移植する「腎移植」だ。

 「若い人なら移植を視野に入れて考えますが、そうでなければ腹膜透析か血液透析。腹膜透析は比較的食事制限を緩やかにできる特性がある。この近辺は農家を営む人が多く、『自分の作った野菜や果物を食べたい』と希望する患者も多い。そんな時には腹膜透析を勧めることが多いですね」

 そんな地域性もあって、西尾医師の患者の6割が腹膜透析を行っているが、治療法の選択は対話の中で決められていく。

 「考えられる治療法を丁寧に説明した上で、どれがその人に合っているのかを一緒に考えていきます。私の考えを押し付けることだけは絶対にしません」と語るように、必要に応じて看護師や薬剤師、医療ソーシャルワーカーなども交えたチームによるサポート体制を構築している。

 患者が納得して治療に取り組める環境づくりに力を入れる西尾医師。赴任して5年、地域医療に欠くことのできない存在として、重要性を帯び始めている。(長田昭二)

 ■西尾利樹(にしお・としき) 1968年、滋賀県生まれ。94年、滋賀医科大学卒業。同大医学部附属病院と大阪逓信病院(現・第二大阪警察病院)で研修。滋賀医科大学大学院修了後、洛和会音羽病院、済生会滋賀県病院を経て、2015年から現職。日本内科学会認定内科医・指導医・総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医・指導医、日本透析医学会透析専門医・指導医。趣味は「子供と遊ぶこと」。

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