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【長田昭二 ブラックジャックを探せ】“患者目線”で糖尿病と腎臓病に立ち向かう 赤穂市民病院副診療部長・内科部長、高原典子さん

 兵庫県赤穂市。瀬戸内海に面する同市の医療拠点・赤穂市民病院の内科部長を務める高原典子医師は、糖尿病と慢性腎臓病(腎不全)の診断と治療を専門とする内科医だ。

 へき地医療に興味を持って医学の道を志したが、学生時代に糖尿病に強い興味を持った。

 「当時も今も、糖尿病は未解明な部分の多い領域。その奥深さに惹かれて、この世界に入り込んでしまいました。子供の頃から探求心が旺盛だったので(笑)」

 患者の話に耳を傾け、地域の開業医との“顔の見える医療連携”を重視した患者本位の地域医療を展開する。

 糖尿病も腎臓病も、患者自身が積極的に生活習慣を見直すことが治療の基本。しかし、中にはそうした制限を守れない患者もいる。それでも高原医師は、患者を叱ることは一切しない。

 「患者さんが生活上の制限を守れないとしたら、それは医療者の説明が正しく伝わっていないから。患者さんの協力を前提とした医療なのに、それができないのであれば、叱るどころかこちらが反省すべきことなんです」

 慢性腎不全の患者には人工透析の導入も視野に入れる。小欄でもたびたび触れてきたが、近年は従来の透析装置を使った血液透析(HD)以外に、腹腔内に透析液を注入して血液内の老廃物質を排除する「腹膜透析(PD)」の導入が進んでいる。

 「HDとPDのどちらを選ぶかは、患者さんの希望を考慮して決めていきます。でも、たとえば日中に仕事をしている人には、普段はPDを行って、週に一度だけHDを受けに病院に来てもらう“ハイブリッド透析”という方法を提案するなど、弾力的な対応もとっていく。話し合いの中で、無理なく続けられる治療法を探っていくように心がけています」

 穏やかな語り口に、患者への思いとやさしさがあふれている。赤穂に住んでもうすぐ20年。高原医師の存在は、すでに地域にとって欠くことのできない、大きなものになっている。(長田昭二)

 ■高原典子(たかはら・のりこ) 1964年、広島県福山市生まれ。滋賀医科大学卒業後、市立池田病院勤務の後、滋賀医科大学大学院修了。米・ハーバード大学糖尿病センター留学。帰国後滋賀医科大学医学部附属病院を経て、2001年から赤穂市民病院。現在副診療部長、内科部長、透析室長を兼務。日本内科学会指導医・総合内科専門医、日本糖尿病学会指導医・専門医、日本高血圧学会高血圧指導医・専門医、日本透析医学会透析専門医。ストレス発散法は「年に一度の海外旅行」。

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