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【BOOK】大阪・京橋に実在したキャバレーを舞台に 都会だからこそ成り立つ優しさを書きたくて 高殿円さん『グランドシャトー』 (3/3ページ)

 ■「人には隠したい、詮索してほしくないこともある。線引きは常に自分で」

 --そういえば主人公のルーは…

 「そうです。本名は出てきません。でも、ほんとうに相手のこと隅から隅まで知らないと信用できないですか? そういう考え方でもいいですけど、そんなん関係ないわって言える強さに私はあこがれます。私もペンネームで生きてて、本名は母に呼ばれるぐらいです。名前とか経歴とかにこだわる人はいるけど、大事なのはそこじゃないって気づいてほしい。人には隠したいこと、詮索してほしくないこともある。線引きは常に自分で考えたいですよね」

 --ストーリーの背後に戦争の悲話も

 「だからこその京橋です。アメリカ軍は終戦をわかっていながら8月14日に爆弾を落としていった。それで一度灰になったから、闇市とかみんな勝手に家建てたりとかで、京橋はごちゃとした街になった。大阪陸軍造兵廠の跡地は再開発でビジネス街になってて、主人公が驚くシーンも描きましたけど、駅の反対側にはまだ戦後の雰囲気が残っている。そういう場所の歴史を、明るく楽しく描けるのがエンタメのいいところだと思います」

 【あらすじ】昭和38(1963)年、大阪・京橋のキャバレー「グランドシャトー」に転がり込んだ家出少女のルー。「なんでもやります。昼間も働けます!」。ナンバーワンホステスの真珠ねえさんとの同居生活が始まった。150人のホステスが働く華やかな巨大キャバレーで、人を楽しませる才能を開花させて人気者になっていくルー。ねえさんとの長屋暮らしの日々にもささやかな幸せを感じていたが、ある日ショックな出来事が…。産経新聞で連載。

 ■高殿円(たかどの・まどか) 兵庫県生まれ。43歳。武庫川女子大学文学部卒。2000年に『マグダミリア 三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞し、作家デビュー。ライトノベルからミステリー、時代小説などを幅広く手がけて人気を集める。映像化作品やメディアミックス作品、漫画原作も。『トッカン 特別国税徴収官』『上流階級 富久丸百貨店外商部』『メサイア 警備局特別公安五係』『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』『ポスドク!』など著書多数。

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