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【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】黒曜石の交易で栄えた「古代都市」 メキシコ「テオティワカン遺跡」 (1/2ページ)

 長野、山梨両県にまたがる八ケ岳周辺で採取された黒曜石は、矢じりの材料として日本各地にもたらされましたが、霧ケ峰南麓にある「駒形遺跡」は、その黒曜石の石器製作と交易に関する縄文時代の集落遺跡で、日本遺産の構成文化財になっています。

 一方、メキシコの世界遺産テオティワカンの古代都市でも黒曜石の加工所が数多く発見されており、この都市はその黒曜石の交易を独占して栄えていました。

 すなわち、日本の縄文時代と同様、メソアメリカ文明にとっても石器の利用は不可欠であり、黒曜石は調理用具、武器あるいは宝石として重宝され、その黒曜石を産出する地を治めたことで、テオティワカンは莫大(ばくだい)な富を集めて繁栄したと考えられています。テオティワカンは、紀元前2世紀から6世紀までの間に存在した、当時のアメリカ大陸では最大規模を誇った宗教都市で、14世紀にこの遺跡を発見したアステカの人々は、あまりのスケールの大きさにこれが人の手によるものだとは信じられず、「神が集う場所=テオティワカン」と命名したといわれています。

 メソアメリカにおける都市は、通常長い年月をかけて次第に都市として整備されていくのが普通ですが、テオティワカンは、当初に設計された計画に従って、中央の大通りから、その左右に神殿などのピラミッド建造物が次々と建設され、わずか百数十年の間に20万平方キロメートルにも及ぶ壮大な都市が完成しているのです。

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