【BOOK】自分の書きたいことを書かない… 10周年記念12カ月連続刊行企画の第1弾 中山七里さん『騒がしい楽園』 (1/3ページ) BOOK
★中山七里さん 『騒がしい楽園』(朝日新聞出版 1500円+税)
「どんでん返し」を得意とし、さまざまな作風の物語でヒットを重ねている中山七里さん。本作は幼稚園を舞台に事件が起きるミステリー。作家生活10周年を記念して、12カ月連続で新刊を刊行するという企画の第1弾だ。(文・井上志津 写真・酒巻俊介)
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--2015年刊行の『闘う君の唄を』の続編ですね
「今回は前回脇役だった神尾舞子先生を主人公にしました。僕は感情的な人間と論理的な人間を対比して小説の中に置きますが、舞子は後者のタイプ。もともと2作目の『おやすみラフマニノフ』に出てくるキャラクターで、読者に人気があるんですよ」
--編集者のリクエストは「待機児童と殺人」だったとか
「いつも取材はしないのですが、家の3つ隣に幼稚園があり、子供が小さいときに通っていたので、いつも以上に必要ありませんでした。当時から騒音問題や、『幼稚園は必要だけど近くには来てほしくない』といった公共性と個人の権利の対立が起きていましたね。そんな状況が行き過ぎると殺人も起こりかねないよということで書いてみました」
--10周年記念12カ月連続刊行企画の第1弾ということですが
「第1弾になった理由は、出版予定の順番が一番早かったから。10周年に何かしようと考えたときに、たまたま新刊が12の出版社から出ることになっていたので、まとめて毎月出そうということになりました」