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【おやじ酒場】奥深い会津の酒と肴と素朴なやさしさ JR山手線など新橋駅「酒処 身知らず」 (1/2ページ)

 ♪汽笛一声~、とおもわず歌いだす新橋駅。古くからビジネス街として知られ、さまざまなジャンルの居酒屋がひしめき合っている街でもある。地方に故郷を持ち東京に出た企業戦士も黄昏時は羽を休ませる場所を求めて繁華街をさまよい歩く。ゆれる提灯に誘われて、毛繕いできる心の止まり木のようなオツな店にたどり着いた。

 烏森通りを渡ると「新橋西口通り」。柳通り方面に曲がって喧騒が落ち着き始めたあたりに「美酒佳肴」と書かれた提灯が揺れる。少し年季が入った引き戸を開けると、大柄でちょっと厳ついがご愛嬌の店主・山田信彦さんがやさしく迎えてくれた。4人掛けのテーブル2卓にカウンター6席というこぢんまりとした店内。呑兵衛は一番奥の止まり木を陣取り「サッポロ生中ジョッキ」(590円)をグイッとあおる。

 目の前には毛筆でしたためられたお品書きの短冊。ズラリと福島・会津の郷土料理が並ぶ。「会津こづゆ」(500円)をお願いする。ホタテの干し貝柱とともににんじん、サトイモ、シイタケ、山菜などで煮しめた一品で貝柱のうま味が染みる。

 「もとは武家の料理だったのが庶民に伝わった伝統食です」

 会津出身の山田さん。明大ボート部で活躍し卒業後、会社勤務を経て20年前、会津名産の高級柿の名を店名にこの地で会津の家庭料理の店を創業。「新橋でサラリーマンになってお酒を飲んで、新橋で辞めた男が、サラリーマンの行きたくなるような店を始めた、ということですよ」

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