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【続「心の老い」は克服できるか】なぜ妄想・幻覚が起こるのか? 不自由さ、恐怖を訴えるメッセージ (1/2ページ)

 認知症、老人性うつの患者の特徴として「妄想・幻覚」が挙げられる。脳機能の衰えが原因なのか? 医師でジャーナリストの富家孝氏が、精神科医の吉竹弘行氏に聞く。

 --私が出会う認知症患者の多くがありもしない話をします。たとえば、「ここには泥棒がいる。財布を盗まれた」と

 「妄想・幻覚は、認知症の典型的な周辺症状で、患者さんの20~40%に認められます。アルツハイマー型認知症の患者の妄想には3つのパターンがあります」

 「1つ目は、財布やお金、物を盗まれたという“物盗られ妄想”。実際には、しまい忘れたり、置き忘れたりしたのですが、盗まれたと思い込んでしまうのです。2つ目が“嫉妬妄想”。夫や妻が浮気をしていると信じ込み、それを訴えます。3つ目が“被害妄想”。家族に邪魔者扱いされている、看護師に虐待されているなどと訴えます」

 「私も、『先生は裏で悪口を言っている』と言われたことが何度もあります。これらの妄想を、患者を知らない周囲が真に受けると、警察などを巻き込んでトラブルになることがありますね」

 --なぜ、妄想が生じるのでしょう?

 「はっきりとは言えませんが、脳機能が衰えて判断力がなくなるからでしょう。記憶障害、見当識障害、判断障害が認知症の中核症状ですが、そうなると本人は生活する不自由さを抱える。それを訴えるために妄想が出てくるのではないかと思います。妄想を訴える患者さんの話を言下に否定してはいけません。『バカ言っているんじゃない』などと言うのは禁物。『そうなの』とうなずくと、この人は何かを訴えたい。『一人の人として大切に扱ってほしい』と訴えているのではと思うようになります」

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