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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】仕込みでわかる蔵の「本気度」 栃木県・鳳凰美田 (1/2ページ)

 栃木県小山市の小林酒造は、二十数年前の廃業寸前から不死鳥のように蘇り、今ではプレミアム価格がつくほどの人気酒「鳳凰美田(ほうおうびでん)」を醸す酒蔵だ。

 五百万石純米吟醸の初しぼり生酒を飲んでみた。桃、ライチ、アプリコットのような華やかな香りに、味わいは瑞々しくフルーティー。甘みとともにしっかり酸もあるので、甘すぎず味に締まりがある。後口はスッキリとキレがあり、全体につくりの良さと育ちの良さを感じる酒だ。

 4月に限定発売する生●(きもと)の純米大吟醸は、花を思わせる甘い香がおだやかで、ゴツくないやさしい生●。グッと芯のある酒質で、飲めば飲むほど飲み飽きしない。

 前者が日本酒入門編だとしたら、後者は日本酒通もうなる出来映えだ。そしてこれは鳳凰美田の最大の特徴だが、香りは温めるとより香り、酸も前へ出て飲みやすくなる。香り系の酒には燗をすることで香りが飛んでしまうものが多いが、鳳凰美田の場合、香りを酵母だけに頼らず、しっかりとした吟醸造りによって香りを出しているからこそ、なせる技なのだと思う。

 しかし、言うは易し。香り系酵母でお手軽に香りを出せば、手間も時間もかからないが、本気で全量吟醸造りをしようと思ったら、労力やコストが半端ない。だが仕込みを見せてもらうと、この蔵の本気度がわかった。

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