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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】女性が支持!白ワインを思わせるフルーティさ 栃木県「仙禽」 (1/2ページ)

 10年ほど前、試飲会で「お?」と思う酒があった。ものすごくきれいな酸が出ていて、白ワインを思わせるフルーティーさ。それが栃木の仙禽(せんきん)だった。日本酒マニアにはウケない味だったが、マニアでもなんでもない酔っぱライターとしては、「面白い酒」として記憶に残った。

 その酒は今、栃木でも一、二を争う人気酒になっている。さくら市にある蔵は、地元の名産大谷石でできた立派な石蔵。通された石蔵の2階は、モダンな照明に照らされたスタイリッシュな空間。そこへ、11代蔵元の「せんきん」薄井一樹専務が現れた。今どきの髭を生やしたイケメンだ。

 彼が蔵へ戻った2004年、仙禽はまったく特徴のない普通の酒だった。当時、ソムリエスクールでワインの講師をしていたほどワイン好きだった薄井専務は、その経験を生かし、新しい仙禽のレシピをつくることにした。弟の真人さんを新たに杜氏として迎え、兄が考えて弟がつくるという、今の仙禽の基礎が出来上がった。

 しかし、すぐには軌道に乗らなかった。業界の主流は淡麗辛口で、酸っぱくて甘い酒など、邪道と見なされたのだ。ただしそれは日本酒マニアの話。やがて若者や女性に受け入れられて大当たり! その頃から日本酒の飲み手がガラリと変わり、新しい流れができた。今流行りの新政、而今、七本鎗の蔵元とは苦楽をともにした仲で、「昔は全然売れなかったよね~」と笑いあっているという。

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