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【ここまで進んだ最新治療】下肢静脈瘤に「グルー治療」 カテーテルで医療用接着剤を注入 保険が適用に

 足(下肢)の静脈の逆流防止弁が壊れて、静脈がコブのように膨らむ「下肢静脈瘤」。足のだるさやむくみ、こむらがえりなどの症状が現れる。標準治療は、レーザーやラジオ波で静脈を焼き潰す「血管内焼灼(しょうしゃく)術」だが、昨年12月に「グルー治療」という新たな治療法が保険適用になった。

 どんな治療法なのか。今年からグルー治療を開始した横浜旭中央総合病院/血管外科・下肢静脈瘤センターの白杉望センター長が説明する。

 「血管内焼灼術は静脈内にレーザーファイバーや高周波カテーテルを挿入して血管を熱で焼いて閉塞しますが、グルー治療は熱ではなくカテーテル(細い管)で医療用接着剤を注入して血管を閉塞します。そのため血管内焼灼術に比べて合併症が少なく、低侵襲なのが大きな利点です」

 血管内焼灼術では、熱で焼くので周囲組織の損傷や痛みの対策として、静脈の周りに広範囲(10~20カ所)の局所麻酔をするので、翌日まで包帯を巻く必要がある。しかし、グルー治療では、局所麻酔はカテーテルを挿入する部分の1カ所だけで、術後に包帯を巻く必要はない。

 また、血管内焼灼術では熱による神経障害(しびれ)や深部静脈血栓症などの合併症が起こる可能性があるが、グルー治療ではそのような合併症の心配はないという。

 「ただし、グルー治療の対象となるのは、静脈瘤の大きさが直径12ミリ以下の患者さんです。それと接着剤に対して過敏反応があると、治療後に注入した血管に沿って発赤やかゆみが出ます。持つアレルギーの種類によっては対象外になる場合があります」

 グルー治療は、1回使い切りの「ベナシール」というキットを使って行う。ガンのような形をした注入器の先にカテーテルが付いていて、引き金の部分を引くと1滴(0・1ミリリットル)の接着剤が出る仕組みになっている。このカテーテルを超音波(エコー)画像を見ながら静脈に挿入していき、注入・圧迫を3センチ間隔でずらしながら血管を潰していく。治療時間は片足で30分ほどだ。

 血管内焼灼術では治療後に弾性ストッキングを1~4週間着用(治療部分を圧迫しておく)する必要があるが、グルー治療ではその必要もない。

 「血管内焼灼術は広範囲に麻酔するので両足を同時に治療できませんでしたが、グルー治療は両足同時に行うことも可能です。これからは直径12ミリ以下の下肢静脈瘤の第1選択の治療法になるかもしれません」

 現在、グルー治療を実施している認定施設は、全国12施設ほど。治療費は、3割負担の場合で約4万5000円だ。 (新井貴)