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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】ジャンルを超えて進化! 栃木県「仙禽」 (1/2ページ)

 栃木の酒、仙禽(せんきん)は、ソムリエスクールでワイン講師をしていた薄井一樹専務が蔵へ戻り、2007年に発売した酒だ。ワインのような高い酸が特徴で、業界で初めて「ジューシー」という言葉を使い売り込んだところ、若者や女性によく売れ、一気に人気銘柄へと登りつめた。だがこれからという時、東日本大震災に遭い、蔵が倒壊して6000本の酒が流出した。立ち止まって考えたのは、水のことだった。

 日本酒は、タンク1本仕込むにはその30倍の水を使うほど、水の影響が大きい。仙禽の仕込み水は、アルコールが出にくい軟水だが、それを無理やり発酵させていた。しかし、軟水には軟水にしか出せない味があるのではないか。自然に任せて発酵させてみると、原酒で12~15%のワインのような酒ができた。よし、これからは低アルコールで勝負しよう。

 そう思うと、原料の米も気になった。仕込み水と同じ水で育てた米なら、相性が悪いはずがない。そこで蔵の周りの田んぼに、酒造り用の米を植え始めた。今では50~60町歩の自社田に、山田錦や雄町、亀の尾が育っている。その米で酒づくりをするという、ドメーヌの完成だった。

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