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【BOOK】戦時中の教科書に学ぶ先人たちの思い… 東大名誉教授・矢作直樹さん「復刻版 初等科修身(中・高学年版)」 (1/3ページ)

 あなたの父母や祖父母が戦争中に小学校の生徒だったとしたら、どんな生活を送っていたか想像したことがあるだろうか。虚心坦懐に当時の教科書『復刻版 初等科修身[中・高学年版]』がどんなものか、読んでみるのは決して無駄ではない。先人の思いを知る格好の“教材”だからだ。矢作直樹東大名誉教授に解説してもらった。(文・幾田進)

 --戦争末期の日本が国家総動員体制で戦争を戦っていたころの教科書ですね。

いまどういうところを読むべきですか。

 「昭和17(1942)年~18年発行の教科書です。戦後は教育や社会のすべてが占領軍によって作られ、当時の実体験や生きてきた様子が教えられなくなった。われわれが今あるのは突然変異ではなく、ご先祖様から引き継いだものがあってこそ。断絶するのは不自然ですね。そこに善悪とか価値観を持ち込まないで、事実がどうだったか、現実に教育を受けた人たちはどうだったのか、実際に読んでもらい、ご両親やおじいさん、おばあさんがどんな教科書を読んでいたのか知るのは大切です。そうすることで自分との連続性を感じるのではないでしょうか」

 --これは小学校高学年用の教材ですね。

 「今の学年でいうと3年生から6年生まで使ったものです。『初等科国史』でも同様ですが、今の教育より国語力を重視していたことがうかがわれます。当時の生徒は今の大人より国語力があったのではないでしょうか。文章を読める能力のことです。非常にきれいな日本語で書かれています」

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