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糖尿病によるがん発症リスク、ハエを使った実験で仕組み解明 京大「ヒトも同様の仕組み」

 糖尿病によってがんの発症リスクが高まる仕組みの一端をハエを使った実験で明らかにしたと、京都大の井垣達吏教授(遺伝学)らの研究グループが8日、米科学誌「ディベロップメンタル・セル」電子版に発表した。新たながんの予防法の開発が期待されるという。同日付の産経新聞が報じた。

 糖尿病の患者は健康な人と比べてがんになるリスクが2倍近く高いとされるが、明確な理由は明らかになっていない。一方、がんの初期段階では、がんのもとになる異常な細胞が周りの正常な細胞によって排除される「細胞競合」と呼ばれる現象が起きていると考えられている。

 研究グループはショウジョウバエを使い、「chico(チコ)」と呼ばれる遺伝子を破壊すると細胞競合が起きず、異常な細胞が腫瘍化することを発見した。

 chicoを破壊したハエは、糖尿病患者にみられる、体内のインスリン量が異常に増える「高インスリン血症」になっており、糖尿病治療薬を投与すると、細胞競合が復活し腫瘍化しなくなることも確認した。

 細胞競合では、タンパク質を合成する能力が低い異常な細胞が周囲の正常細胞によって排除される。一方、今回のハエの研究では、高インスリン血症の状態下では異常な細胞はタンパク質を合成する能力が高まっており、正常に細胞競合が働かなくなることが分かったという。

 井垣教授は産経の取材に対し、「ヒトにも同様の仕組みが備わっていると考えられ、新たながんの予防・治療法の開発につながるのではないか」としている。

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