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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】江戸時代の酒母にこだわる 東京都・WAKAZE (1/2ページ)

 WAKAZEは日本酒の新しい価値を創造すべく、2016年に創業したベンチャー企業だ。東京・三軒茶屋の醸造所兼飲食店は、日本初のクラフトSAKEブルワリー&パブ。ここを任されているのは、取締役の岩井慎太郎さんと杜氏代行の戸田京介さんだ。

 岩井さんは元楽天社員で、マーケティングや新規事業の策定などを担当。実家が横浜で100年続く酒販店だったので、子供の頃から自然に酒のある生活を送ってきた。「今の日本酒の世界は狭すぎると思います。クラフトビールのように、多様性の面白さ、ブルワリーごとの違いをもっと楽しんでもいい」と話す。

 戸田さんはもともと日本酒が好きで、飲食店でアルバイトをしながらつくり手になる機会をうかがっていた。三軒茶屋醸造所でつくっている酒は、酒税法上は「その他の雑酒」になる。山形県産つや姫の70%精米を原料に、お茶やハーブやボタニカルを一緒に発酵させる独自の手法で、革新的な味わいを創り出している。四季を通じて仕込める環境を生かし、冬は生もと(きもと)、夏は水もと(みずもと)、春と秋は煮もと(にもと)という江戸時代の酒母にこだわる。

 「冬だけの仕込みになる以前、江戸の初めは四季を通じて多様な酒がつくられていました。明治時代になると、安全にたくさんアルコールを出すことばかり重視され、ますます日本酒の多様性は薄れていった。江戸時代の文献には、WAKAZEが目指す酒づくりのアイデアがあふれています」

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