記事詳細

【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】低コスト徹底しリーズナブルな吟醸酒のみ 福島県「人気一」 (1/2ページ)

 人気一(にんきいち)は人気酒造(福島県二本松市)の新興ブランドだ。13年前、同市内の奥の松酒造19代目蔵元だった遊佐勇人社長が、老舗蔵を飛び出してゼロから創り出した。東日本大震災で木造の蔵が倒壊した後は、鉄筋コンクリートの建物へ移転。年間通して5度に冷房した蔵で四季醸造を行っている。

 人気一が目指すのは、リーズナブルな価格の高品質な酒。そのため人件費を無駄にかけないなど低コストを徹底し、吟醸酒だけをつくっている。しかもタンク貯蔵はせず、すべて瓶貯蔵だ。

 これは四季醸造だからこそ実現できたこと。冬だけのつくりでオール瓶貯蔵にしたら、蔵が瓶だらけになってしまい、そのための冷蔵倉庫を確保するなど無駄なコストもかかる。四季醸造の場合、常につくっては出荷するので、在庫は最小限。さらに、冬に人気の高いしぼりたての生酒を、夏に売ることもできる。

 コンクリート蔵の四季醸造でも、機械仕込みではなく手づくりだ。蒸しは和釜にこだわり、麹室は節のない杉材でできた木造。良い蒸しから良い麹をつくることで、酒質の7割が決まると考えている。

 圧巻なのは、日本最大の木桶が4本もあること。1年中低温の部屋で使い続けているため、メンテナンスの必要がないのが強みで、ステンレスタンクと同じ感覚で使えるという。だから人気一は、木桶の酒でもけして高くない。今後は全量木桶仕込みにするつもりだ。

関連ニュース