記事詳細

【BOOK】生活習慣病、認知症、介護…日本が直面している新型コロナ問題にも通じる事態でどう向き合うか 真山仁さん『神域』 (1/3ページ)

 生命科学、新薬開発、超高齢化社会…真山仁さんの新作小説『神域』で描かれるテーマは極めて今日的だ。現在の新型コロナウイルス問題へもつながってゆく国家的難題に日本人は果たしてどう向き合うのか。 (文・南勇樹 写真・三尾郁恵)

 --「救世主」か「悪魔」か問いかける

 「(本作で書いた)『再生細胞』を使った医療は、細胞を初期化して、新たな臓器をつくる、生命をリセットする…いずれは、不老不死にもつながっていく重大な領域です。それなのに、功を焦るあまり、政治も社会もメディアもどんどん“前のめり”なムードを作り出している。そこに小説を通じて警鐘を鳴らしたいと思ったのです」

 --当事者や家族にとっては藁(わら)にもすがりたい

 「もちろん、その気持ちは分かります。『あなたの親が当事者だったら…』というのはよく聞く話でしょう。一度持ってしまった技術は使いたくなるのが人情、原子力がいい例です。その一方で、命を救うためなら何をやってもいいのか? という議論がある。折り合いをつけるのはなかなか難しいですが、一度立ち止まってみて、冷静に判断してゆくことが大事だと思いますね」

 --現在の新型コロナの問題でも同じ事態が

 「偶然ですが、本の刊行時期と重なってしまいましたね。効くかもしれない薬やワクチンもやがてできる。だけど強い副作用が出るかもしれない…。拙速にやれば、それこそ“医療崩壊”を招きかねません」

関連ニュース