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【BOOK】「見た目」で人生が大きく左右されると、気にするように… 興味のない私が美容整形を書く 湊かなえさん『カケラ』 (2/3ページ)

 --美しさの発見もなかなか難しい

 「一日一回でも、自分の姿をしっかり鏡に映して、自分と向き合える自分でいることを確認する作業って、美しさの維持には大事なんだなと思いました。本書の取材で美容整形のクリニックに行ったときです。衝撃を受けたのは、クリニック内のいたるところに鏡があって、照明も明るくて、私も朝晩、歯を磨くときなんかは鏡に向かっているはずでしたが、改めて、自分の姿を強く認識していなかったという現実を突きつけられました」

 --ドーナツを作品の素材に選んだのは

 「作品中に読者が知っている共通のアイテムを置くと、読む側の気持ちも入りやすくなるかと思い、だれもが一度は食べたことのあるドーナツにしました。また、物語には、見た目に関する価値観を相手に押しつけようとする人がたくさん出てきますが、相手の中心ではなく、見た目だけを自分の価値観で見ているところから、中心のないものを形として象徴するのがドーナツなのでは、と思ったんです」

 --各章が独白というスタイル(書き方)ですね

 「ひとりでずっと語っていき、語り手が変われば景色も変わって見える、といったスタイルと向き合いました。自分の価値観を強調したり、登場人物に心情を語らせたりするときには、このスタイルが合うんですね」

 --作品中、物語の聞き手となる美容外科医はどういう存在ですか

 「美容外科医とは本来、患者の外見をケアする仕事ですが、作品中の外科医は心療内科のカウンセラーのように、患者の心の内側と向き合う存在として設定しました」

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