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【ドクター和のニッポン臨終図巻】漫画家・ジョージ秋山「花が散るのは風のせいじゃない…」 明かされていない「死因」 (1/2ページ)

 私の日常。夕方の外来が終わるのが20時前。そこから夜の往診を車で回ります。夕飯にありつけるのは22時かな。ラーメン屋の片隅で夕刊フジと、月2回は〈ビッグコミックオリジナル〉を読むのが癒やしのひとときです。ページをめくり終わり、『浮浪雲』がないことがいまだ寂しいオジサンです。

 『浮浪雲』の連載が始まったのは1973年。まだ10代だった私は、今まで読んでいた漫画のヒーローとは全く違う主人公の「雲」に憧れました。仕事はろくにせず、酒好きで女にもだらしない。だけど曲がったことが嫌いで実は剣術の達人。幕末が舞台なのに、登場人物たちの面倒くささと可愛さ、男と女のどうしようもなさが、リアルに胸に迫ります。

 在宅医療とは、百人百様の家族模様と向き合う仕事でもありますから、そんな『浮浪雲』からヒントを貰ったことも数知れず。連載が終わったのは3年前。気づけば40年以上、愛読者でした。

 この名作の生みの親・漫画家のジョージ秋山さんが5月12日に亡くなっていたとのこと。享年77。死因は明かされていません。

 俺が死んでも、死因は発表するなと、秋山さんが生前にご家族に伝えていたように思えてなりません。勝手な想像ですが、「何の病気で死のうが、俺の人生とは関わりのないことだからね」と仰りそうな気がしたのです。

 そもそも死因とは何だろう。私は2500人以上のお看取りをしてきましたが、今でもふと、そう考えることがあります。

 がんならば、可哀想なのか? 突然死ならば、理不尽なのか? ではコロナなら…? その死因に想いを巡らすとき、いつだって本人は不在。この連載も、残念ながらご本人が読むことはありません。しかし人は、他者の死因に興味が尽きない下世話な生き物なのです。

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