記事詳細

【BOOK】“最後の未知”と呼ぶ「死」と真正面から向き合った短編小説集 石原慎太郎さん『死者との対話』 (1/3ページ)

 溢れんばかりの才能を持って生まれ、幾多のブームを巻き起こし、他人も羨む成功を勝ち取った男にも「老い」は、やってくる。そして、いつの日か「死」も…。今秋、米寿を迎える石原慎太郎氏が“最後の未知”と呼ぶ「死」と真正面から向き合った短編小説集。これは見逃せまい。 文・梓勇生(写真提供・文藝春秋)

 --文藝春秋7月号で、今冬、膵臓(すいぞう)がんの治療を行ったことを書いている。今の体調はいかがですか

 「体調? 悪いね、もうじき死ぬよ(苦笑)。まぁ、現代医学は大したものですな。(膵臓がんは)強力な重粒子線(放射線)で駆逐しました。この前検査を受けて『もう来なくていい』と言われました。今は、通院もしていません」

 --新型コロナ禍の中での日々は

 「毎日、散歩はしていますよ。老け込まないためにね。人に会うのも好きだから“危険でない人”には会っています」

 --最近「死」をテーマにした作品が多い。「老い」や「死」からは最も遠いイメージがあり、意外な気もするが

 「それは違いますね。私はずっと肉体派、行動派で激しい行動の先には『死』があった。私が開拓した(ヨットの)オーシャンレースでも外洋へ出て随分、危険な目に遭っています。だから私の文学は『死』に裏打ちされている。よき理解者だった江藤淳には『石原の文学には死の影がある』と言われました。その通りだと思いますね」

関連ニュース