記事詳細

【新書のきゅうしょ】永遠に輝く「パズル・クイズ」のミリオンセラー! 多湖輝著「頭の体操 第1集」(カッパ・ブックス、1966年) (1/2ページ)

 本書が出た1966年、私は小学2年だったが、親にねだりにねだり、買ってもらった。何より嬉しかったのは、実用新書といえ、大人向きの本を初めて自身のものとして手にできたこと。裏表紙の著者紹介。多湖は手品とパズルが特技で、彼と話していると、手に持っていた煙草がすっと消えたかと思うと袖口からひょいと出てくると描かれる。少年時代の私は「カッコイイ!」と憧れた。

 五十数年ぶりに読み返したが今も存分に楽しめる。AIが進展しようと、リモートワークに迫られようと、時の変遷に左右されないパズル・クイズの名作がそろう。1ページに1問のみで、その裏のページに答えが載るぜいたくな構成。1問ずつじっくり考えた後、答えを見るのが楽しみだったのも思い出す。水野良太郎のイラストもウイットに富む。

 設問が挿絵と一体化しているので個々のパズル、クイズの奇抜さを文章のみで伝えにくいが例えばこんな具合。

 問いでは「若い女性が誘拐された。何とか最短の距離で助けに行きたいのだが」と書かれ、複雑な迷路が載る。その入り口に迷路に臨もうとする男性、出口には紐とさるぐつわをかまされた女性のイラスト。迷路の脱出法って道の片側のみをたどりながら進むんだっけ? などと悩み、迷路内をさ迷うとあっという間に制限時間の3分に。

 あきらめて次ページを開くと、「左図の通り」と書かれた答えには、迷路の外をぐるっと走って女性にたどりつく男性のイラストが……

 A地点から、川幅100メートルを渡る向こう岸、その300メートルくだった場所のB地点まで行くとして川のどの部分に橋を架けたら最短距離になるか-との設問は今も忘れられない。橋は斜めにかけられぬ条件。答えは、幅300メートルの橋を架けて斜めに渡れというもの。

関連ニュース