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【BOOK】男性はみちに恋して元気になって 女流漢詩人の半生を歴史ミステリー仕立てに 諸田玲子さん『女だてら』 (1/3ページ)

 実在した江戸後期の女流漢詩人・原采蘋(さいひん、本名・みち)の半生と、筑前国秋月黒田家のお家騒動の内幕をスリリングに描いた歴史ミステリー。タイトル通り“女だてら”に酒に強く、漢詩を詠み、全国を行脚したみちの魅力について、諸田玲子さんに聞いた。 (文・井上志津)

 --みちを知った経緯を教えてください

 「2006年に刊行した『奸婦にあらず』のご縁で、京都府京丹後市の相光寺のご住職が『面白い漢詩人がいますよ』と史料を送ってくださったのが最初でした。男装の麗人で、漢詩人として名を馳せ、儒学者の父と共に諸国を旅した。そんな女性がいたと知って驚きましたが、史料は300枚近い分厚い論文で、私は漢詩に疎いので、脇へ押しやっていたのです」

 「でもあるとき、論文を眺めていたら、みちの父が秋月藩のお家騒動に関わって没落したことや、江戸への旅の記録に謎めいた記述があることに気づきました。すると疑問が次々と湧き、みちの旅には裏があったのではないかと思えてきたのです。それで、彼女の漢詩人としての業績をたどるのではなく、歴史ミステリーに仕立てたら、私にも書けるかもしれないと思いました」

 --タイトルはすぐに決まりましたか

 「史料の中に『采蘋の女だてらに立小便』という川柳があるのを見つけたときから『女だてら』にしようと決めました。この川柳のおかげで、私の中でみちが活き活きと立ち上がりました。こんな川柳にされるほど、皆から親しまれていたのだなと」

 --みちのどんなところが好きですか

 「大柄な美人で、豪放磊落な性格だったそうですが、恋の噂を立てられて悩んだり、叶わぬ恋に泣いたりするナイーブな面もあるところに親近感を覚えました。女だからとためらう前に目的に向かって邁進するところや、常に家族や郷里への愛を忘れないところも好きです」

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