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【中原英臣 あの医療情報ウソ?ホント!】新型コロナの「ジャパン・パラドックス」? 日本はなぜ死者数と致命率が少ないのか

 今回の新型コロナウイルスの流行で世界中が不思議と感じて「ジャパン・パラドックス」と呼んでいることがあります。それは日本人のコロナウイルス感染者は死者が少ないということです。

 厚労省がまとめた7月27日までのデータをみると、新型コロナウイルス感染症の人口100万人当たりの死者数はアメリカが454人、イギリスが674人、フランスが463人、イタリアが881人なのに対して日本は8人と非常に低いのです。

 致命率をみても、アメリカが3・4%、イギリスが15・2%、フランスが16・5%、イタリアが14・3%なのに日本は3・3%です。アメリカの数字が低いのは分母となる新型コロナウイルス感染者が443万人と非常に多いからと思われます。

 京都大学iPS細胞研究所の所長で2012年にノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥氏は、この謎を解く鍵を「ファクターX」と呼んでいます。この謎について、最近、有力な説が提唱されました。

 それはアメリカのラホイヤ免疫研究所のチームが、6月にアメリカの科学誌『Cell』に発表した、2015~18年に収集された20人の血液を調べたところ、約半数の血液から新型コロナウイルスを認識する免疫細胞が検出されたという論文です。

 昔から存在するコロナウイルスに感染した免疫細胞が、新型コロナウイルスに対して反応する「交差免疫」を起こしたというわけです。交差免疫説というのは、過去に新型コロナウイルスに似た弱毒のコロナウイルスが流行した結果、新型に対する免疫もある程度ついたとする考えです。

 人口100万人当たりの死者数が中国では3人、韓国でも6人と低いことは、アジアで過去に新型に近いウイルスの大きな流行があり、強い交差免疫がついていたとすることで説明できます。 (西武学園医学技術専門学校東京校校長・中原英臣)

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