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【専門医に聞く 認知症医療の最新現場】アルツハイマーと決めてかかるのは早計! 全体の1割は“治る” (2/2ページ)

 こうしたことから、認知症が疑われる症状で医療機関を受診した時は、疑う疾患の順位を誤らないことが重要になる、と新井医師は指摘する。

 「割合として一番多いからと言って、アルツハイマーから疑ってかかるのは間違いです。最初は血液検査と物忘れの検査、それにMRIによる画像診断を行い、“治る認知症”を洗い出します。この時、血管性の認知症であればMRIで見つけられます」

 「残るのはアルツハイマーとレビー小体型、前頭側頭葉変性症の3つ。これらは複合的に発症することがあるので、慎重に臨床症状を検証して診断につなげていく。つまり、アルツハイマーは最初から狙って診断するのではなく、色々な疾患を疑った末に残る“除外診断”で見つけていくのが正しい方法。順序を誤ると“治る認知症”を見過ごすことになってしまうのです」

 ちなみに血液検査では、肝臓や腎臓の機能もチェックする。

 「肝機能や腎機能が低下すると、それが原因で判断力が鈍ったり、ボーっとすることがあるのです」。認知症に似た症状を引き起こす病気は意外に多いので、何でもアルツハイマーと決めてかかるのは早計なのだ。

 ちなみに、認知症というと「高齢者の病気」と思われがちだが、実際には「40代以降」は発症リスクを持っている。

 「40~50代の認知症は血管性や交通事故などの頭部外傷に起因することが多いのは事実ですが、すべての年代を通して全体の7割がアルツハイマー型なので、どの年代にとっても甘く見るのは禁物です」

 次回以降、そのアルツハイマー型認知症対策について詳細する。 (下山二郎)

 ■新井平伊(あらい・へいい) 1978年、順天堂大学医学部卒業。84年、同大学院修了。東京都精神医学研究所、順大医学部精神医学講座講師を経て、97年、同教授(大学院医学研究科教授併任)。2010年、順天堂越谷病院院長代行。12年、順天堂医院認知症疾患医療センター長を兼務。19年、アルツクリニック東京を開設し院長。順大名誉教授。日本老年精神医学会、日本認知症学会、日本精神神経学会のそれぞれ専門医と指導医。医学博士。

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