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【専門医に聞く 認知症医療の最新現場】次第に見え始めた“怪物”の正体 「健脳ドック」で将来にリスク持つ人の共通点も (2/3ページ)

 そもそもアミロイドβとは何なのか。新井医師が解説する。

 「元は膜タンパクで、古くなれば代謝されていきますが、一部は脳に貯まっていく。正常な人の脳にも沈着していくので、高齢者ほど沈着量は増える。とはいえアミロイドβは認知症を発症させるために存在する物質ではない。脳で何らかの異常が起きたときにその防御や修復のために働いた物質の残骸-とも考えられる。事実、脳梗塞を起こした人の脳を分析すると、梗塞部位の近くに多くのアミロイドβが集まっているのが見て取れます」

 脳を守るために戦った物質が、認知症の原因物質となっていく。何とも切ない話だが、その沈着度の推移が認知症発症予防の上で重要になることは間違いなさそうだ。

 前回の小欄で触れた「アミロイドPET」という検査で、アミロイドβの脳への沈着度を見ることは可能になった。

 「造影剤を使う検査と勘違いされることがありますが、まったく異なります。2~3時間で消える“弱い放射性物質を含む水”を点滴で投与し、その薬剤の集積度を画像上で分析する、きわめて安全性の高い検査です」

 新井医師のクリニックでは昨年春から約100人にこの検査を行っているが、アミロイドβの値が基準値を超えた例は全体の約2割。つまり8割の人は正常値だった。

 「自由診療のドックという形で受ける人は、健康に対しての意識が高いので“8割が正常(基準値以下のアミロイドβ蓄積)”という結果に結び付いている。しかし、ドックは本来“早期発見”と同時に“安心すること”も目的としており、その意味では妥当な結果といえるでしょう」

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